心理職の資格はとても多く、何を取得するとよいのかわかりにくいものですよね。そこで本記事では、代表的な心理カウンセラー資格を12種類ご紹介します。取得方法のタイプや自分に合った資格の選び方も解説するので、ぜひご注目ください。
目次
そもそも心理カウンセラーとは
心理カウンセラーとは、相談者の悩みや苦しみに寄り添い、相談者自身が解決策を見つけられるよう支援する職業です。心理カウンセラーになるために資格は必須ではありません。しかし、取得することで肩書として名乗り、能力をアピールできます。そのため国家・民間を含め多くの資格があります。
心理カウンセラー資格の種類
心理カウンセラー資格の種類は4つのパターンにわかれます。
<心理カウンセラー資格の種類>
- 国家資格
- 大学院などを卒業した後に取得する民間資格
- 通学講座で取得できる民間資格
- 通信講座で取得できる民間資格
それぞれの特徴を見ていきましょう。
①国家資格
「認定心理師」が心理カウンセラー資格のなかで唯一の国家資格です。これは比較的新しい資格であり、2018年にはじめての国家試験が行われました。誰もが受験できるわけではなく、4年制大学で指定された科目を修了するといった受験資格が設定されています。
②大学院などを卒業した後に取得する民間資格
心理カウンセラー資格のなかには、大学院などで指定科目を修了するなどの受験資格を設けているものが多くあります。そのため、希望する資格の種類によっては、資格試験を受験するためにまず大学院などを卒業しなければなりません。
③通学講座で取得できる民間資格
通学講座を受講して、民間資格の受験資格を獲得する学び方です。たとえば心理系の専門学校などに通います。座学以外にも実践的なカリキュラムを組んでいる場合が多く、就職時には即戦力としての能力を備えられるでしょう。
④通信講座で取得できる民間資格
通信講座で民間資格を取得する方法です。テキストやCD、DVDなどを使って学ぶことが基本で、就職・転職支援や、質問への回答を行っている通信講座もあります。通学する必要がないため、社会人の方でも資格を取得しやすいことや、通学講座と比べてコストパフォーマンスが高いことがメリットです。
取得する心理カウンセラー資格の種類はどう選ぶ?
心理カウンセラー資格の種類選びで迷ったときは、以下の点に注目しましょう。
<取得する心理カウンセラー資格の選び方>
- いまの仕事に役立つ資格を選ぶ
- 家族や自分自身の生活に役立つ資格を選ぶ
- 興味を持った資格を選ぶ
それぞれのポイントをわかりやすく解説します。なお、取得する資格を1つだけに絞る必要はありません。複数の資格を取得することで専門性をさらに高められます。必要と感じた資格や興味のある資格を複数見つけたら、優先順位を定めたうえで、順番に複数の資格取得を目指してもよいでしょう。
いまの仕事に役立つ資格を選ぶ
心理カウンセラー資格を取得すると、現職のキャリアアップにつながる場合があります。相手の心理状態の理解度が深まるため、とくに営業や人事などの仕事に役立てやすいでしょう。いまの業種や職種、あるいは立場からマッチする資格を選ぶのが最初のポイントです。
家族や自分自身の生活に役立つ資格を選ぶ
心理カウンセラー資格は、家族や自分自身のために役立てることもできます。悩みを抱えている家族や友達の相談に乗ったり、セルフカウンセリングをしたりする際にも、資格取得を通じて得た知識と経験が役立るのです。仕事を度外視して、人生を豊かにできる資格を見つけてもよいでしょう。
興味を持った資格を選ぶ
興味は1番の原動力になります。勉強そのものを楽しめるような資格ならば、勉強時間が限られていたとしてもたくさんの物事を吸収できるでしょう。すぐに役立てられるかどうかは別として、まずは興味を持った資格の取得にチャレンジすることもおすすめできます。
代表的な心理カウンセラー資格の種類
代表的な心理カウンセラー資格を12種類ご紹介します。
<代表的な心理カウンセラー資格の種類>
- 公認心理師
- 臨床心理士
- 認定心理士
- メンタル士心理カウンセラー®
- メンタル心理カウンセラー
- メンタルケアカウンセラー
- メンタルケア心理士
- チャイルドカウンセラー
- 家族療法カウンセラー
- キャリアカウンセラー
- EAPメンタルヘルスカウンセラー
- NLPプラクティショナー
それぞれの特徴を解説するので、自分に合った資格を見つけてみましょう。
公認心理師
2022年現在、心理カウンセラー資格としては唯一の国家資格です。
【公認心理師の概要表】
資格名 | 公認心理師 |
---|---|
団体名 | 厚生労働省 |
国家・民間 | 国家 |
受験資格 | 4年制大学もしくは大学院において、必要な科目を履修していることなど |
通信のみの取得 | 不可能 |
難易度 | やや高い |
費用 | 2万8,700円 |
学習時間の目安 | 約4〜5ヶ月 |
心理査定やカウンセリング、心の健康に関する教育や情報提供活動が可能な能力を有することを証明できます。国家試験そのものの合格率は例年約50%前後を推移していますが、受験資格はやや厳しい設定です。4年制大学などの卒業が必要なため、通信講座のみでは資格を取得できません。
臨床心理士
心理査定技法や面接査定の基礎知識、そして技能にたけていることを証明できます。公認心理師の誕生以前は心理カウンセラー資格としてもっとも権威性が高い資格として知られていた民間資格です。
【臨床心理士の概要表】
資格名 | 臨床心理士 |
---|---|
団体名 | 日本臨床心理士資格認定協会 |
国家・民間 | 民間 |
受験資格 | 指定大学院を修了し、所定の条件を満たすことなど |
通信のみの取得 | 不可能 |
難易度 | 普通 |
費用 | 申請書類:1,500円 資格審査料:3万円 |
学習時間の目安 | 約1~2ヶ月 |
臨床心理士になるためには、指定大学院を修了したうえで、いくつかの所定の条件を満たさなければなりません。そのため通信講座のみで資格を取得することは不可能です。就職先・転職先は医療現場が中心となりますが、需要は高く、民間企業や司法領域で働く有資格者もいます。
認定心理士
大学や大学院で心理学を専攻していた人が取得する民間資格です。基礎学力と技能の両面を身につけていることを証明できます。
【認定心理士の概要表】
資格名 | 認定心理士 |
---|---|
団体名 | 日本心理学会 |
国家・民間 | 民間 |
受験資格 | 4年制大学もしくは大学院で所定科目を履修し、必要単位を取得する |
通信のみの取得 | 不可能 |
難易度 | 普通 |
費用 | 審査料:1万1,000円 認定料:3万円 |
学習時間の目安 | - |
4年制大学や大学院で所定科目を履修・単位取得後に日本心理学会に申請し、認められると資格が与えられます。そのため、改めて資格試験にチャレンジしなくても資格を取得できることがメリットです。過去に学んだことを心理職へ生かせることを可視化でき、教育・福祉・産業といった分野を中心に資格を生かせます。
メンタル士心理カウンセラー®
心理学だけでなく、カウンセリングに関する知識・技能を持つことも証明できる民間資格です。
【メンタル士心理カウンセラー®の概要表】
資格名 | メンタル士心理カウンセラー® |
---|---|
団体名 | 日本能力開発推進協会 |
国家・民間 | 民間 |
受験資格 | ・協会指定の認定教育機関等のカリキュラムを修了すること ・カリキュラム修了後、資格試験に合格すること |
通信のみの取得 | 可能 |
難易度 | 普通 |
費用 | 5,600円 |
学習時間の目安 | 約2ヶ月間 |
カウンセリングを実践できる能力をアピールできる資格なので、医療や福祉、教育、産業など多くの人に間セリングを行う業種に就職・転職する人が目立ちます。協会が指定するカリキュラムの修了後、資格試験に合格すると取得できるため、通信講座のみでも取得を目指せる資格です。
メンタル心理カウンセラー
心理カウンセリングの基礎を把握していることを証明できる資格です。
【メンタル心理カウンセラーの概要表】
資格名 | メンタル心理カウンセラー |
---|---|
団体名 | 日本能力開発推進協会 |
国家・民間 | 民間 |
受験資格 | ・協会指定の認定教育機関等のカリキュラムを修了すること ・カリキュラム修了後、資格試験に合格すること |
通信のみの取得 | 可能 |
難易度 | 低い |
費用 | 受験料:5,600円 |
学習時間の目安 | 約2ヶ月間 |
指定されたカリキュラムを修了し、資格試験に合格すると取得できます。この資格だけで就職・転職を果たすのは困難ですが、いまの職場や家族・自分自身のために生かしたり、より難易度の高い資格取得に向けた地盤固めに使ったり、独立開業のための第一歩として取得したりするとよいでしょう。
メンタルケアカウンセラー
後述するメンタルケア心理士の下位互換に相当する、難易度が低い入門的な民間資格です。
【メンタルケアカウンセラーの概要表】
資格名 | メンタルケアカウンセラー |
---|---|
団体名 | ・メンタルケア学術学会 ・生涯学習開発財団 ・ヘルスケア産業推進財団 |
国家・民間 | 民間 |
受験資格 | とくになし |
通信のみの取得 | 可能 |
難易度 | 低い |
費用 | 5,100円 |
学習時間の目安 | 約3ヶ月間 |
通信講座などで学びながらレポートの提出と修了試験の受験を行い、合格することで取得できる資格です。もっとも入門的な資格であるため、心理学に関する基礎知識を身につけたい場合に取得するとよいでしょう。勉強によって得た知識をすぐ役立てられることがメリットです。
メンタルケア心理士
先述したメンタルケアカウンセラーの上位互換となる民間資格です。
【メンタルケア心理士の概要表】
資格名 | メンタルケア心理士 |
---|---|
団体名 | ・メンタルケア学術学会 ・生涯学習開発財団 ・ヘルスケア産業推進財団 |
国家・民間 | 民間 |
受験資格 | ・こころ検定2級に合格すること ・メンタルケア学術学会指定教育機関で教育課程を修了すること もしくは ・認定心理士等の資格を保有していること |
通信のみの取得 | 可能 |
難易度 | 普通 |
費用 | 5,600円 |
学習時間の目安 | 約4ヶ月間 |
難易度が高くなることと引き換えに、取得することにより公共機関で働くチャンスも巡ってきやすくなります。「こころ検定2級」への合格が受験資格ですが、これは通信講座のみでも取得できる資格ですから、時間をかければ社会人の方でも働きながらメンタルケア心理専門士になれます。
チャイルドカウンセラー
児童心理に関する専門家であることを証明できる民間資格です。
【チャイルドカウンセラーの概要表】
資格名 | チャイルドカウンセラー |
---|---|
認定団体 | 日本能力開発推進協会 |
国家・民間 | 民間 |
受験資格 | ・協会指定の認定教育機関等のカリキュラムを修了すること ・カリキュラム修了後、資格試験に合格すること |
通信のみの取得 | 可能 |
難易度 | 普通 |
費用 | 5,600円 |
学習時間の目安 | 約4ヶ月間 |
主に不登校、校内暴力、いじめといった問題解決のスペシャリストとして活動します。そのため就職先・転職先は教育、福祉、医療現場などが中心です。実務経験や学歴は問われないため、通信のみでも資格を取得できます。
家族療法カウンセラー
家族関係を向上させる専門家が持つ民間資格です。
【家族療法カウンセラーの概要表】
資格名 | 家族療法カウンセラー |
---|---|
認定団体 | 日本能力開発推進協会 |
国家・民間 | 民間 |
受験資格 | ・協会指定の認定教育機関等のカリキュラムを修了すること ・カリキュラム修了後、資格試験に合格すること |
通信のみの取得 | 可能 |
難易度 | 普通 |
費用 | 5,600円 |
学習時間の目安 | 約4ヶ月間 |
相談者だけでなく、その家族を対象とするカウンセリングを行います。個人の精神状態や問題行動は、家族関係などの関係性から生じるものと考えた特別なカウンセリング理論を用いる資格です。通信のみでも資格を取得できます。
キャリアカウンセラー
個人のキャリアに関するサポートを行い、よりよい将来へと導く民間資格です。
【キャリアカウンセラーの概要表】
資格名 | キャリアカウンセラー |
---|---|
認定団体 | 日本能力開発推進協会 |
国家・民間 | 民間 |
受験資格 | ・協会指定の認定教育機関等のカリキュラムを修了すること ・カリキュラム修了後、資格試験に合格すること |
通信のみの取得 | 可能 |
難易度 | 普通 |
費用 | 5,600円 |
学習時間の目安 | 約1~2ヶ月 |
資格取得に向けて必要な能力・知識には「人事労務管理」や「労働法規」などがあります。相談者の個性を見極めながら最適なキャリア形成をサポートする仕事に就くことが多く、一般企業のほか、教育現場において進路指導をする有資格者もいます。
EAPメンタルヘルスカウンセラー
EAPとメンタルヘルス分野における総合カウンセラー資格として、日本で最初に誕生した民間資格です。
【EAPメンタルヘルスカウンセラーの概要】
資格名 | EAPメンタルヘルスカウンセラー |
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認定団体 | EAPメンタルヘルスカウンセリング協会 |
国家・民間 | 民間 |
受験資格 | ・指定された検定試験や検定資格に合格していること または ・検定試験合格+産業保健分野の実務経験が2年以上あること もしくは ・実務経験が5年以上あること |
通信のみの取得 | 可能 |
難易度 | やや高い |
費用 | 1次試験:1万1,000円 2次試験:2万7,500円 |
学習時間の目安 | 約2~3ヶ月 |
メンタル不調の予防や早期発見、メンタル不調を抱える人へのメンタルヘルスカウンセリングを行います。主な職場は医療機関、行政・自治体、地域・教育機関までさまざまです。受験資格のハードルが高く、高度な資格取得や実務経験が求められます。
NLPプラクティショナー
「脳と心の取扱説明書」とも呼ばれる、新しい心理学を生かした民間資格です。
【NLPプラクティショナーの概要表】
資格名 | NLPプラクティショナー |
---|---|
認定団体 | 日本NLP協会 |
国家・民間 | 民間 |
受験資格 | ・認定トレーナーが開催する認定コースに合格すること または ・NLPトレーナーの基準をクリアすること |
通信のみの取得 | 可能 |
難易度 | 普通 |
費用 | 受講料:30~40万円 |
学習時間の目安 | 約1~2ヶ月 |
「人生で最高の結果を出す」ことを目的に、他者とのコミュニケーション・自分とのコミュニケーション・セルフイメージの向上など5分野を学べます。認定コースを進めることで資格を取得できる仕組みであり、資格試験などは行われていません。
まとめ
心理カウンセラーに関連する資格はたくさんあります。就職・転職に向けて資格は必須ではありませんが、取得しておくと自身の能力を客観的にアピールできるため、就職や転職に有利です。本記事では、代表的な心理カウンセラー資格を12種類ご紹介しました。資格ごとの特徴をチェックして、ご自身に最適な資格取得を目指しましょう。
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