心理カウンセラーが活躍する場所は、学校から一般企業まで実にさまざまです。こういった団体に所属した心理カウンセラーは、それぞれの職場でどんな役割を果たしているのでしょうか。学校・一般企業・未所属と3つのカテゴリーごとに仕事の内容を紹介し、心理カウンセラーに向いている人の特徴とあわせて解説します。
目次
心理カウンセラーとは
心理カウンセラーとは、心理学の知識を生かして人々の相談に乗り、悩み・不安を解消へと導く仕事です。クライエント(相談者)は、肉体的もしくは精神的な病を抱えている人、もしくは病になりかけている人が中心です。カウンセラーは積極的な助言をせず、クライエントに寄り添って自力解決をサポートします。
カウンセラーの基本的な仕事はカウンセリングで、幾度となく対話を重ねながらクライエントとの信頼関係を築き、クライエントが抱えている悩みを引き出します。また、行動療法や精神分析療法などの専門的な知識・技術も生かしながら、クライエントに合った方法で解決策を探るのがカウンセラーの役割です。
ただし、これはあくまでも基本的な役割に過ぎません。心理カウンセラーが在籍する団体は、一般企業から医療機関、福祉施設、司法領域までさまざまです。所属する業種により、クライエントの特徴や心理カウンセラーが果たす役割が変わるため、理想とする働き方ができる業種への就職を目指しましょう。
学校での心理カウンセラーの役割
学校などの教育現場において、心理カウンセラーは次のような役割を果たします。
<学校での心理カウンセラーの役割>
- 生徒たちの悩みを聞き、必要に応じてアドバイスをする
- 保護者と連絡を取り、問題解決に向けたカウンセリングやアドバイスをする
- 教員のメンタルケアを行う
学校で働く心理カウンセラーは「スクールカウンセラー」と呼ばれます。相談相手となるのは生徒や生徒の保護者、そして教員と、学校にかかわるすべての人たちです。接する可能性のある人が多い反面、学校という閉ざされた空間のなかにいる人だけがクライエントになるため、密に接することが多い点が特徴的です。
学校に関連する人の悩みは実にさまざまです。いじめ問題で悩んで不登校になる生徒や、自傷行為に走る生徒もいますし、勉強や恋愛のトラブルで深く傷つく生徒もいるでしょう。また、家庭内の問題が生徒の非行につながるケースもあり、家族全体と接する「家族療法」などの方法で解決を図ることもあります。
こういった幅広い問題の解決にあたるのが、学校で働く心理カウンセラーの役割です。心理カウンセラーは、教師とも保護者とも違う立場から生徒と接することができます。子どもと接するのが好きな人や、人間形成に関与したい人などは、学校に勤務しながらスクールカウンセラーになる道を選ぶとよいでしょう。
なお、学校で心理カウンセラーになるために取得すると有利な資格は以下のとおりです。
<学校で心理カウンセラーになるために取得すると有利な資格>
- メンタル心理カウンセラー資格
- チャイルドカウンセラー資格
- 不登校訪問支援カウンセラー資格 など
一般企業での心理カウンセラーの役割
一般企業の人事部や管理部などにおいて、心理カウンセラーは以下の役割を果たします。
<一般企業での心理カウンセラーの役割>
- 経営者や社員に対してストレス緩和などを目的としたカウンセリングを行う
- 社員のキャリア開発への援助を行う
- リーダーシップやコミュニケーションスキルの開発を行う
- 心理テストの実施と結果の分析を行う
一般企業で働く心理カウンセラーは「産業カウンセラー」もしくは「キャリアコンサルタント」と呼ばれることが一般的です。職場には人間関係からハラスメント、職務上の悩みなどさまざまな問題があります。これにより経営者や社員の精神状態が悪化した際、カウンセリングなどを通じてサポートを行います。
キャリア開発の援助やリーダーシップ・コミュニケーションスキルの開発といった役割を持つことも、一般企業での心理カウンセラーの役割の特徴です。たとえばリストラにあった社員のメンタルケアと再就職支援を行ったり、休職している社員と面談を行ったりすることもあります。
また、定期的に心理テストを実施し、社員のストレス状態を確認するなどの業務を行うケースも珍しくありません。アンケートを回収したあとは分析し、問題が生じているスタッフと面談をしたり、会社側にフィードバックして改善点を提示したりします。
一般企業で心理カウンセラーとして働く場合は、以下の資格を取得するとよいでしょう。
<一般企業で心理カウンセラーとして働くために取得すると有利な資格>
- 産業カウンセラー
- キャリアカウンセラー
- 臨床心理士
- 精神保健福祉士 など
所属団体に属さない心理カウンセラーの役割
特定の団体に所属せず、独立開業して心理カウンセラーになる人もいます。
<所属団体に属さない心理カウンセラーの役割>
- 保有する資格や得意分野に合った相談に応じる
なお、カウンセリングを行う場所や形式は以下のようにさまざまです。
<所属団体に属さない心理カウンセラーのカウンセリング場所・形式>
- 実店舗を持って対面でカウンセリングを行う
- カフェやレストラン、レンタルルームなどを使ってカウンセリングを行う
- ビデオ通話や電話、チャット、メールなどでカウンセリングを行う
独立開業する場合は、カウンセラーとしての能力だけでなく、経営者としての才覚も必要になります。ホームページやSNSの内容を充実させたり、人脈を切り開いたりしなければサービスを宣伝できないためです。企業などで働いて一定の実績を作り、知名度を高めてから独立するのがセオリーといえます。
心理カウンセラーに向いている人の特徴
心理カウンセラーに向いている人の特徴をご紹介します。
<心理カウンセラーに向いている人の特徴>
- 人と向き合うことができる人
- 人の話をじっくり聞く、相談に乗ることができる人
- 情に流されないで判断を下すことができる人
ご自身が当てはまると感じたら、さっそく資格取得に向けた勉強を始めましょう。
人と向き合うことができる人
心理カウンセラーの仕事は、クライエントに寄り添って傾聴することです。カウンセラーは自らの意見を押し付けたり、解決策を積極的に提示したりすることはありません。人と誠実に向き合い、異なる価値観も否定せずに受け止められる人が心理カウンセラーに向いています。
人の話をじっくり聞く、相談に乗ることができる人
人の話をじっくり聞ける人も心理カウンセラーに適しています。反対に結論や決断を急がせたり、話をぶった切りにして自分の話をしたりする人は心理カウンセラーに向いているとはいえません。クライエントの話を根気強く聞き、自ら答えを出すまで待つことがカウンセリングの基本です。
情に流されないで判断を下すことができる人
クライエントに寄り添い、共感する能力を持つ人は心理カウンセラーに向いていますが、情に流されやすい人は危険です。クライエントに感情移入し過ぎると、心理学のプロとしての的確な判断ができなくなります。他人に流され過ぎず、冷静に物事を判断する能力が必要です。
まとめ
心理カウンセラーの役割は、就職先や働き方によって大きく異なります。学校に勤務すれば思春期の子どもの人間形成に関与できますし、一般企業に勤めれば会社の体質そのものを改善させる手伝いができるかもしれません。まずはやりたい仕事を見つけて、それに合った勉強を行い、資格取得を目指しましょう。
実際に心理カウンセラーを目指したい方におすすめの通信講座2選
今回は初心者でも在宅でプロの心理カウンセラーを目指せるおすすめの資格通信講座を二つご紹介します。
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