心理カウンセラーが行っている心理カウンセリングとはどのようなものなのでしょうか。
心理カウンセラーを目指す方はもちろん、心理カウンセリングそのものが気になっている方にも向けて、心理カウンセリングの方法や効果をお伝えします。どんな人が受けるとよいのかなどの情報も含めて確認していきましょう。
目次
心理カウンセリングとは
心理カウンセリングとは、心理学などの専門知識を持つカウンセラーによって行われるカウンセリングです。心理カウンセラーは、相談者が抱えている悩みを受け止めて、相談者の心を軽くする役割を果たします。相談者に悩み事を解決するためのヒントを与えるだけでなく、うつ状態など精神的な疾患へと発展する前に、症状を改善させられる場合があることも心理カウンセリングの醍醐味です。
カウンセリングはセラピーと混同されることがありますが、厳密にいえばこの2つは異なります。セラピーは、悩みに応じた具体的な解決策をセラピストが提示することが特徴です。一方のカウンセリングは、あくまでも相談者が自ら解決策を見つけるためのサポートを行う仕事であり、カウンセラーが自身の意見を押し通すことはありません。
心理カウンセリングを受けるのはどんな人?
心理カウンセリングはどんな人でも受けられますが、とくに受けることが多いのは以下のような人です。
<心理カウンセリングを受ける人の特徴>
- 医療機関でカウンセリングが必要と判断された人
- さまざまな悩みを抱えている人
それぞれくわしく解説します。
医療機関でカウンセリングが必要と判断された人
医療機関を受診した際にカウンセリングが必要と判断され、なおかつ以下の条件を満たす方の多くが心理カウンセリングを受けています。
<心理カウンセリングを受けている人>
- 考えて話せる状態である
- 不調の原因が性格・考え方や周囲の環境である
- カウンセリングを受けられる経済状況である
- カウンセリングを受ける意思がある
各項目をさらに深掘りしてみましょう。
考えて話せる状態である
カウンセリングはカウンセラーとの対話によって成り立つため、患者自身が考えて話せる状態であることが重要です。会話や対話が難しい場合はカウンセリングよりも休養を優先し、状況に応じて投薬治療なども視野に入れながら、思考力を取り戻すまで待機します。
不調の原因が性格・考え方や周囲の環境である
不調に至った原因が患者の性格や考え方にあったり、周囲の環境にあったりする場合もカウンセリングが有効といえます。休養や薬物療法で一時的に精神状態が回復したとしても、これらの問題が残っている限りは根本的な解決ができておらず、将来的に再び精神状態を悪化させる確率が高いためです。
カウンセリングを受けられる経済状況である
カウンセリングには費用がかかります。医師によるカウンセリングは保険適用できる場合がありますが、医師以外のカウンセリングは自由診療です。自由診療の場合、カウンセリング1回あたりの費用目安は1万円前後となり、継続して受診できる経済状況も必要です。
カウンセリングを受ける意思がある
患者がカウンセリングを受ける意思を持っていることも重要です。カウンセリングは患者自らが自発的に受けようとしなければ効果を発揮しにくいため、医師やカウンセラーの一存だけではカウンセリングを実行に移せません。
さまざまな悩みを抱えている人
以下のような悩みを抱えている人も心理カウンセリングを受けています。
<さまざまな悩みの例>
- 人間関係に悩んでいる
- 育児・子育てに悩んでいる
- 依存症に悩んでいる
- 自分のセクシュアリティに悩んでいる
- 悲しい経験から立ち直れない
人間関係や環境の変化によって生じる悩みは重く、苦しいものです。相談に乗ってくれる人が近くにいない場合や、相談しても気持ちが晴れない場合、トラウマのような経験を忘れたくても逃れられないといった場合も、カウンセリングが有効な解決策になります。
心理カウンセリングの種類
心理カウンセリングの種類は、大きく以下の3つにわかれます。
<心理カウンセリングの種類>
- 医師による保険適用でのカウンセリング
- 医師による自由診療でのカウンセリング
- カウンセラーによるカウンセリング
それぞれの特徴をくわしくご紹介しましょう。
医師による保険適用でのカウンセリング
医師によるカウンセリングでは、以下の条件のうちいずれかを満たす場合に限り、保険適用できる場合があります。
<カウンセリングに保険適用する条件>
- 気分障害で医師等により認知行動療法・精神分析療法を受けた場合
- 精神疾患の通院・在宅精神療法を受けた場合
- 標準型精神分析療法を受けた場合
医療機関で上記の治療を受け、カウンセリングをすすめられた場合は保険適用できる可能性が高いため、医師によるカウンセリングを受診することを最優先にするとよいでしょう。
医師による自由診療でのカウンセリング
先述した条件を満たさない場合は、カウンセリングを自由診療(保険適用外)で受けることになります。自由診療の場合、カウンセリングにかかる費用は全額が自己負担です。ただし、自由診療でも医療費控除の対象となる場合があるため、領収書などは保管しておき、確定申告を行いましょう。
カウンセラーによるカウンセリング
カウンセラーによるカウンセリングを受ける方法もあります。カウンセラーは医師免許を持っていませんが、その代わりに専門的な資格を有しています。職場のトラブルから家庭環境、震災などによって生じた心の傷まで、各分野に精通したカウンセラーによるカウンセリングを受けられることがメリットです。
心理カウンセリングに期待できる効果
心理カウンセリングによって期待できる効果は、主に以下の4点です。
<心理カウンセリングに期待できる効果>
- 抱えている問題を整理できる
- 自分自身の感情に気づける
- 自分を肯定できるようになる
- 抱えている問題の解決を目指せる
それぞれをくわしく解説します。
抱えている問題を整理できる
抱えている悩みや問題は人それぞれです。しかし背後には複雑な状況があったり、複数の悩みが絡み合ったりすることで病んでしまう場合もあります。心理カウンセリングを受けることにより、抱えている問題をひとつずつ整理できるため、ポジティブな気持ちを持ちやすくなるでしょう。
自分自身の感情に気づける
自覚していなかった自分自身の感情にも気づきやすくなります。カウンセラーは理解者として悩みに共感するだけでなく、客観的な視点から相談者を見つめる役目を果たすことも特徴的です。カウンセリングを受けることで、何が自分を苦しめているのか、自分にはどんな長所があるのかといった点に気づけるでしょう。
自分を肯定できるようになる
自己肯定感は心身の健康を保つために重要なポイントです。カウンセラーは相談者の悩みや苦しみに寄り添ってくれますから、どんな話をしても否定や批判をされる心配がありません。自分の気持ちや能力を正当に評価してもらうことで、自己肯定感や自信を高められるでしょう。
抱えている問題の解決を目指せる
カウンセリングを利用することで、抱えている問題の解決も目指せます。カウンセラーに悩みを打ち明けることは、自分自身を見つめ直し、あらゆる問題を俯瞰的に見るための第一歩です。カウンセリングで自分自身への評価や物事の見方を変えることにより、問題の解決に向けて大きく歩みだせます。
心理カウンセリングを行う場所
心理カウンセリングを行う場所は、主に以下のとおりです。
【心理カウンセリングを行う場所】
医療現場 | 病院、クリニックの精神科や心療内科など |
---|---|
会社内 | 医務室、保健室、カウンセリングルームなど |
保健所 | 精神衛生相談室など |
司法 | 刑務所や少年院など |
その他 | 個人経営のカウンセリングルーム、児童相談所など |
個人でカウンセリングを受ける場合、基本的には医療機関や個人のカウンセラーに依頼することになります。個人カウンセラーの場合、人によって専門とする分野が異なりますから、相談内容に合ったカウンセラーに依頼することが重要です。会社勤めの方は、社内のカウンセリングルームなどを利用してもよいでしょう。
心理カウンセリングの方法
心理カウンセリングの方法は、大きく以下の4つです。
<心理カウンセリングの方法>
- 対面カウンセリング
- オンラインカウンセリング
- 電話カウンセリング
- メールカウンセリング
それぞれの特徴を解説します。カウンセラーとして働く場合は得意とする方法を、相談者として利用する場合は無理なく相談できる方法を選びましょう。
対面カウンセリング
カウンセリングルームなどを利用して、カウンセラーと相談者が直接話し合う方法です。オンラインや電話などで人と話すのが苦手な場合や、コミュニケーションを取りながらカウンセリングに臨みたい場合に対面カウンセリングを選ぶとよいでしょう。
基本的にはカウンセラーと相談者が1対1で話しますが、複数の相談者が集まる「グループカウンセリング」も行われています。グループカウンセリングのメリットは、同様の悩みを抱えた人たちと知り合い、孤立せずに済むことです。他人の体験談を聞くことが、問題を解決へと導くヒントになる可能性もあります。
オンラインカウンセリング
ZoomやSkypeなどのWEB会議システムを使い、インターネット上で行うカウンセリングです。心理的な状況によっては、カウンセラーに相談したいものの、自宅から離れる元気が出ない方もいるでしょう。オンラインカウンセリングなら自宅にいながら相談できるため、心理的・体力的な負担を最小限に抑えられます。
また、遠方のカウンセラー・相談者と対話しやすいこともオンラインカウンセリングのメリットです。とくに地方都市にお住まいの場合、悩みの内容に合ったカウンセラーが身近な場所で見つからないかもしれません。オンラインカウンセリングなら全国のカウンセラーへ気軽に相談できますし、新幹線や飛行機に乗る手間や交通費も削減できます。
電話カウンセリング
電話を使って対話する形式のカウンセリングです。顔を出さずに相談できることがメリットで、面と向かって悩みを打ち明けるのが苦手な方に向いています。カウンセラーとしては、後述するメールカウンセリングと比べて相談者の感情が伝わりやすいことや、自らの発言についてもニュアンスを伝えやすいことがメリットです。
メールカウンセリング
メール交換をしながら行うカウンセリングです。電話と違ってニュアンスは伝わりにくいものの、隙間時間を使ってやり取りできることがメリットです。こちらも相談者・カウンセラーの双方が顔を出さずに行える形式のカウンセリングなので、気軽にカウンセリングを受けたい場合に利用すると便利でしょう。
心理カウンセリングの流れ
心理カウンセリングの流れは、主に以下の4フローで進みます。
<心理カウンセリングの流れ>
- インテーク面接
- 心理アセスメント
- 継続カウンセリング
- カウンセリング終了
ステップごとの内容をくわしく解説しましょう。
①インテーク面接
申し込みを行った後、実際のカウンセリングで最初に行うのがインテーク面接です。インテーク面接はカウンセラーと相談者の間ではじめて行う面接であり、質問や観察を通して相談者の情報を収集します。基本的には相談した理由や経緯の聞き取りが行われており、スムーズな問題解決のためには聞き逃し・話し忘れがないようにカウンセリングを進めることが重要です。
②心理アセスメント
心理アセスメントでは、インテーク面接で集めた情報を整理したり、さらに深掘りして情報収集を進めたりします。そこで得た情報を整理して、解決策を提示することがカウンセラーにとっての最終的な目標です。相談者の将来を左右する可能性が高い行程であることから、心理アセスメントは慎重を期して行われます。
③継続カウンセリング
対話を繰り返しながらカウンセリングを継続します。基本的に、心理カウンセリングが1度限りで終了することはありません。対話を重ねるなかでカウンセラーと相談者の間に信頼関係が生まれ、相談者の深層心理や人生のバックグラウンドが見えやすくなります。こういった情報をヒントに分析を進めながら、相談者の自立を促進させることがカウンセラーにとっての腕の見せ所です。
④カウンセリング終了
問題を解決できた場合はカウンセリングを終了します。カウンセリングなしで過ごせるのに越したことはありませんが、継続的に対話を続けてきたカウンセラーから離れることに不安を覚える相談者は少なくありません。そのため、相談者が自信を持って自立できるまで焦らずに接し続けて、ごく自然な形でフェードアウトできるようにコントロールします。
心理カウンセリングに関する代表的な資格
心理カウンセラーになるために必須となる資格はありません。しかし、国家資格や民間資格を取得することで、就職・転職を成功させやすくなります。心理カウンセリングに関する代表的な資格の概要をまとめたので、一覧表を確認してみましょう。
【心理カウンセラーに関する代表的な資格】
資格名 | 国家/民間 | 概要 |
---|---|---|
公認心理師 | 国家 | 心理学全般に対応する知識を持てる国家資格 |
臨床心理士 | 民間 | 心理査定や面接査定に関する知識を持てる |
認定心理士 | 民間 | 心理学の標準的な基礎知識・技術が認定される |
メンタル士心理カウンセラー® | 民間 | ストレスによる症状とその対処法の知識を持てる |
メンタル心理カウンセラー | 民間 | 学校、医療、福祉などで求められる知識を持てる |
メンタルケアカウンセラー | 民間 | 心の病気や、心理学の初歩に関する知識を持てる |
メンタルケア心理士 | 民間 | 解剖生理学や薬理学などの知識を持てる |
チャイルドカウンセラー | 民間 | 子どもの心に寄り添うための知識を持てる |
家族療法カウンセラー | 民間 | 家族の関係性を円滑にするための知識を持てる |
キャリアカウンセラー | 民間 | 職業選択をサポートするための知識を持てる |
分野によって求められる資格が異なります。なかには受験資格を必要とする資格試験もありますから、気になる資格の詳細を確認しておきましょう。
まとめ
心理カウンセリングとは、心理学などの専門知識を持つカウンセラーによって行われるカウンセリングのことを指しています。カウンセリングが行われている場所は、医療機関から個人経営のカウンセリングルームまでさまざまです。相談の分野によって必要な資格が異なるため、カウンセラーを目指す場合は目標に合致する勉強を、相談する場合は悩みに合った施設選びを行いましょう。
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