心理カウンセラーは人の悩みや苦しみに寄り添う仕事であり、大きなやりがいを感じながら働いている人が多くいます。それでは、心理カウンセラーになるには何をするとよいのでしょうか。
資格取得が近道になる理由やおすすめの資格といった情報を詳しくお伝えしながら、心理カウンセラーという職業について解説します。
目次
心理カウンセラーとは?
心理カウンセラーとは、不安や悩みを抱えている相談者に寄り添い、心の不調から回復させるためのサポートを行う仕事です。日本では20~39歳までの死因第1位を自殺が占めるなど、心の不調は社会問題化しています。心理カウンセラーは、この課題を改善に導ける可能性を秘めた、やりがいある仕事です。
心理カウンセラーの仕事内容
心理カウンセラーの仕事内容は業種や立場によって異なるため一概に断言できません。学校や児童相談所などで子どものケアにあたることもあれば、一般企業に勤めて社員やその家族の相談に乗ることもありますし、公務員として刑務所に勤めて受刑者の更生を促す人もいます。
しかし、他者の悩みや不安を聞き、その気持ちに寄り添い、解決へと導くサポートをするといった原則は同じです。「セラピスト」と混同する人もいますが、積極的にアドバイスをして解決策を伝えるセラピストに対して、心理カウンセラーは自らの意見や主観を押し付けず、傾聴することを基本としています。
心理カウンセラーが活躍できる場所
心理カウンセラーが働いている場所はとても多く、代表的なものとしては以下の分野で活躍しています。
<心理カウンセラーが活躍する分野>
- 医療(病院・クリニックなど)
- 福祉(高齢者向け施設・児童相談所など)
- 教育(教育機関など)
- 産業(民間企業・公的機関など)
- 司法(刑事施設、少年院など)
- 研究(大学の心理臨床センター、民間企業など)
- その他
心理カウンセラーとして向き合う相談者は老若男女さまざまです。人や立場によって悩みや不安の中身は変わるため、就職先の分野によって必要とされる心理カウンセラーの個性が異なります。特定の分野への就職・転職を希望している場合は、専門知識をアピールできる資格の取得を目指しましょう。
心理カウンセラーの需要は多い?
心理カウンセラーの需要は多く、高まり続けている状態です。先述したとおり、日本に住む若者の自殺率は先進国のなかでとくに高いこともあり、教育現場から一般企業まで多くの現場でメンタルケアを行える人材が求められています。非正規雇用で働く心理カウンセラーが多いことも事実ですが、心理カウンセラーは将来性豊かな職業であるといってよいでしょう。
それを証明する根拠のひとつが「公認心理師」の誕生です。心理カウンセラーに関する資格は民間資格のみでしたが、2018年から国家資格である公認心理師資格試験が始まりました。これは政府が国民のメンタルケアに本腰を入れたことの証明であり、心理カウンセラーの需要は伸び続けると予想できます。
心理カウンセリングの方法
心理カウンセリングの方法は、大きく2種類にわかれます。
<心理カウンセリングの方法>
- 治療的(臨床的)カウンセリング
- 開発的カウンセリング
それぞれの特徴を解説しましょう。
治療的(臨床的)カウンセリング
相談者が抱えている心の問題が深刻な場合に行うカウンセリングです。具体的には、うつ状態や摂食障害、ひきこもりなどの症状・行動が目に見えて強い場合に行います。この場合、投薬治療などの方針を決めるのはあくまでも医師ですが、心理カウンセラーは医師の指示を受けたり、医師と連携したりしながら相談者をサポートします。
開発的カウンセリング
すぐに治療的カウンセリングを行う必要はないものの、放置すると深刻な症状に発展すると考えられる場合に行うカウンセリングです。主に予防効果を期待して行う方法であり、ストレスや緊張をコントロールするメンタルトレーニングや、成功体験を重ねることで自信をつけるコーチングといったカウンセリングが行われています。
心理カウンセラーになるには資格取得がおすすめ!
心理カウンセラーになるには資格取得がおすすめです。心理カウンセラーになるために資格は必須ではありませんが、無資格・未経験のまま心理カウンセラーとしての就職先を見つけることは簡単ではありません。資格取得の方法は、大きく以下の3つにわかれます。
<資格取得の方法>
- 方法①:専門講座を受講する
- 方法②:専門学校や大学、大学院で学ぶ
- 方法③:本などを使って独学で受験勉強をする
それぞれどのようなルートから資格取得を目指すことになるのか、細かく確認しておきましょう。
方法①:専門講座を受講する
もっともスタンダードな方法が専門講座の受講です。通学、もしくは通信で資格試験に向けた専門的な勉強を行い、受験資格の取得や、資格試験の合格を目指します。社会人の方や、その他の勉強に主軸を置いている方の場合は、専門講座を受講して資格取得を目指すとよいでしょう。
心理カウンセラーに関連する資格のなかには、受験資格として「認定講座の修了」を加えているものもあります。こういった条件の資格を取得する場合、専門講座の受講は必須です。専門講座では、受験資格を満たしながら必要な知識を身につけられるため、もっとも効率的な資格取得方法ともいえます。
方法②:専門学校や大学、大学院で学ぶ
専門学校や大学、大学院で心理学などを専攻し、資格試験突破に向けた実力をつける方法です。心理カウンセラー関連の上位資格である「公認心理師」や「臨床心理士」になるためには、経歴に4年制大学や大学院を含まなければなりません。このような受験資格を設ける資格を取得するためには、高度な教育機関で必要課程を学びましょう。
欠点は、社会人にとって一から専門学校・大学・大学院で学び直すのが難しいことです。仮に時間的な余裕があったとしても、入学金や授業料などで数百万円単位の資金を用意しなければなりません。さまざまな余裕がなければ学びにくいことが、この資格取得方法のデメリットです。
方法③:本などを使って独学で受験勉強をする
参考書や専門書を購入し、独学で受験勉強をする方法です。独学なら空いた時間を使って自分のタイミングで行えますし、専門講座を受講したり、大学に入学したりする場合と比べて出費も抑えられます。
しかし、心理カウンセラー関連資格の大半が「専門講座の修了」や「4年制大学で必要課程を学ぶ」といった条件を受験資格に加えています。独学だけでは資格試験に参加すらできないケースが目立ち、取得できる資格はごく一部に限定されることには注意しなければなりません。
心理カウンセラーになるために取得しておきたい資格
心理カウンセラーになるために取得していると役立つ資格は以下の10種類です。
<心理カウンセラーになるために取得しておきたい資格>
- 公認心理師
- 臨床心理士
- 認定心理士
- メンタル士心理カウンセラー®
- プロフェッショナル心理カウンセラー
- 行動心理士
- 教育カウンセラー
- チャイルドカウンセラー
- 産業カウンセラー
- キャリアカウンセラー
国家資格は公認心理師のみで、その他はすべて民間資格です。ここでピックアップしたすべての資格を取る必要はありませんが、1つないし複数持っておくと就職・転職に役立ちます。資格の特徴を紹介していくので、就きたい職種との相性がよい資格を見つけて、勉強をはじめてみましょう。
公認心理師
公認心理師は、心理カウンセラー関連資格のなかで唯一の国家資格です。権威ある資格を取得したい場合は、公認心理師資格の取得を目指しましょう。
【公認心理師の概要表】
認定団体 | 厚生労働省 |
---|---|
独学 | 不可能 |
取得方法 | 4年制大学、もしくは大学院において必要な科目を履修していることなど |
学習時間の目安 | 約3ヶ月 |
更新の有無 | なし |
資格が生かせる場所 | 医療、福祉、教育現場、企業、司法など |
権威性が高いこともあり、幅広い場所で資格の知識を生かせます。民間企業はもちろん、刑務所など司法領域でカウンセラーとして活躍している人も少なくありません。合格率は例年40~50%を推移しており、受験資格もやや厳しいため、難易度が高い資格です。
臨床心理士
心理カウンセラーに関連する資格に限れば、民間資格のなかでもっとも権威が高いとされる資格です。
【臨床心理士の概要表】
認定団体 | 日本臨床心理士資格認定協会 |
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独学 | 不可能 |
取得方法 | 指定大学院を修了し、所定の条件を満たすことなど |
学習時間の目安 | 1~2ヶ月程度 |
更新の有無 | 5年ごとに必要 |
資格が生かせる場所 | 医療、教育、福祉、一般企業、司法など |
臨床心理士資格を取得することで、心理テストを使った心理査定や、面接査定に関する高度な知識を持つことを証明できます。指定大学院の修了といった厳しい条件が課せられるため、難易度は高めです。その分だけ就職・転職には強く、さまざまな分野での活躍を見込めます。
認定心理士
4年制大学もしくは大学院で心理学を学んだ人が取得できる資格です。
【認定心理士の概要表】
認定団体 | 日本心理学会 |
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独学 | 不可能 |
取得方法 | 4年制大学、もしくは大学院で所定科目を履修し必要単位を取得する |
学習時間の目安 | - |
更新の有無 | なし |
資格が生かせる場所 | 教育、福祉、産業など |
改めて資格試験を受ける必要はなく、履修・単位取得の事実を示し、審査を受けることで認定心理士資格を取得できます。教育や福祉といった現場のほか、産業カウンセラーとして活躍する人も輩出している資格です。条件を満たす場合は日本心理学会に申請し、資格を取得するとよいでしょう。
メンタル士心理カウンセラー®
心理学に関する基礎知識のほか、ストレスへの対処法を知る専門家であることを証明できる民間資格です。
【メンタル士心理カウンセラー®の概要表】
認定団体 | 日本メディカル心理セラピー協会 |
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独学 | 可能 |
取得方法 | 試験において70%以上の評価を獲得する |
学習時間の目安 | 約2ヶ月間 |
更新の有無 | なし |
資格が生かせる場所 | 医療、教育、福祉、一般企業など |
ストレスが原因で発生する症状の種類や、ストレスに起因する心の不調に対処する仕事に就くことが多い資格です。心理カウンセラーに関連する資格としては珍しく、独学でも取得できる資格なので、その他の資格とあわせて取得を目指してもよいでしょう。
プロフェッショナル心理カウンセラー
全国心理業連合会(全心連)が発行する民間資格です。
【プロフェッショナル心理カウンセラーの概要表】
認定団体 | 全国心理業連合会 |
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独学 | 不可能 |
取得方法 | ・認定教育機関で履修プログラムを修了する ・全心連による資格試験に合格する |
学習時間の目安 | 約3ヶ月間 ※一般の場合 |
更新の有無 | なし |
資格が生かせる場所 | 医療、福祉、教育、産業、一般企業、司法など |
この資格は基礎レベルの「一般」と、国家資格レベルの「上級」にわかれます。社会経験を重視した採点を行うことが特徴的なので、社会人が取得を目指す資格としてもおすすめです。まずは一般を取得し、実務経験を重ねながら上級合格を目指すとよいでしょう。
行動心理士
人間の行動心理や思考を熟知していることを示す民間資格です。
【行動心理士の概要表】
認定団体 | 日本能力開発推進協会 |
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独学 | 不可能 |
取得方法 | ・協会指定の認定教育機関等のカリキュラムを修了すること ・カリキュラム修了後、資格試験に合格すること |
学習時間の目安 | 約4ヶ月 |
更新の有無 | なし |
資格が生かせる場所 | 福祉、教育、一般企業、司法、研究など |
行動心理学に関するスペシャリストになれるため、他者の言動の分析だけでなく、自らの振る舞いを改善させられる資格でもあります。福祉、教育、司法、研究などの分野でも働ける可能性があるほか、資格を生かしてコンサルタントとして独立する人もいます。
教育カウンセラー
生徒指導や家庭訪問、進路指導、道徳教育など、学級運営に関する知識が深いことを証明できる民間資格です。
【教育カウンセラーの概要表】
認定団体 | 日本教育カウンセラー協会 |
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独学 | 不可能 |
取得方法 | ・教育カウンセラー養成講座等を修了している ・相談、援助に関する実践歴が2年以上あるなど ※初級の場合 |
学習時間の目安 | - |
更新の有無 | 7年ごとに必要 |
資格が生かせる場所 | 教育 |
資格は「初級」「中級」「上級」の3種類で、それぞれ受験資格が異なります。専門講座を修了することなどの受験資格があるため、独学での取得が不可能です。現在教育機関に勤めている人が、キャリアアップを目的に取得するとよいでしょう。
チャイルドカウンセラー
児童心理を知る専門家として、教育現場のほか医療、福祉などの分野で活躍できる資格です。
【チャイルドカウンセラーの概要表】
認定団体 | 日本能力開発推進協会 |
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独学 | 不可能 |
取得方法 | ・協会指定の認定教育機関等のカリキュラムを修了すること ・カリキュラム修了後、資格試験に合格すること |
学習時間の目安 | 約4ヶ月間 |
更新の有無 | なし |
資格が生かせる場所 | 医療、福祉、教育 |
不登校や校内暴力、いじめ問題など、子どもならではの問題行動やトラブルに対処します。資格試験そのものの難易度は低めですが、受験資格を得るためには専門講座を修了する必要があります。
産業カウンセラー
一般企業に在籍して、会社員やその家族などのメンタルケアを行うために取得する資格です。
【産業カウンセラーの概要表】
認定団体 | 日本産業カウンセラー協会 |
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独学 | 不可能 |
取得方法 | ・協会が実施する養成講座を修了すること もしくは ・大学院等で心理学を学んでいること または ・4年制大学の卒業者であり、指定単位を取得していること |
学習時間の目安 | 約1ヶ月間 |
更新の有無 | 5年ごとに必要 |
資格が生かせる場所 | 一般企業 |
相談者のストレスをケアしたり、パワハラなどの問題に対処したり、リストラされた社員や休職中の社員を支援したりなど、仕事内容は多岐にわたります。受験資格は比較的ゆるく、取得しやすい資格です。
キャリアカウンセラー
キャリア支援を専門的に手掛けられる能力を持つことを証明できる民間資格です。
【キャリアカウンセラーの概要表】
認定団体 | 日本能力開発推進協会 |
---|---|
独学 | 不可能 |
取得方法 | ・協会指定の認定教育機関等のカリキュラムを修了すること ・カリキュラム修了後、資格試験に合格すること |
学習時間の目安 | 約1~2ヶ月 |
更新の有無 | なし |
資格が生かせる場所 | 教育、一般企業など |
求められる専門知識には「人事労務管理」や「労働法規」などがあります。相談者との対話を通じて、その人がより輝けるキャリアプランを描くことが主な仕事内容です。そのため、一般企業に勤務して社員にアドバイスをすることもあれば、教育機関で進路決定に携わることもあります。
心理カウンセラーには資格がなくてもなれる
心理カウンセラーは資格が必須な仕事ではありません。資格なしで独学を重ねてカウンセラーになる人や、ボランティアでカウンセラーを名乗る人もいます。しかし、心理カウンセラーになるためのルートとしてもっとも一般的なのは資格取得です。企業や顧客への説得力が増すため、資格取得を経て心理カウンセラーを目指すに越したことはありません。
心理カウンセラーになってからもスキルアップが必要
資格を取得して心理カウンセラーになれたとしても、そこがゴールではありません。悩みの内容は時代によって変化しますし、研究によりもっとも適切な診療方法が変わることもあります。
優れた心理カウンセラーとして活躍するために、就職後もスキルアップを目指しましょう。上級資格を取得することで、より理想的な業種で働けたり、年収アップを実現できたりする可能性もあります。
まとめ
心理カウンセラーとは、不安や悩みを抱えている相談者に寄り添い、心の不調から回復させるためのサポートを行う仕事です。心理カウンセラーとして就職・転職するためには、まず資格取得を目指しましょう。また、心理カウンセラーになった後もスキルアップを重ねて、より上級の資格にチャレンジすることをおすすめします。
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